野村浩


あとがき

この「エキスドラ」と名付けたドラえもんのようなキャラクターが私の作品に登場してから、かれこれ20数年になる。作った当時のことを思い出してみると、何かリアリティのある平面作品が作れないものだろうかと考えて作業していたのだ。着地点も分からず手探りだったけれど、よく分からない情熱と確信に突き動かされていたように思う。

スチレンボードにブラックジェッソで「エキスドラ」を描き、カッターで切り抜く。それを10数体作って、大学のアトリエの壁にポソッと立てかけていた。数日後、自由製作の課題提出の必要から、平日の上野公園をふらふらと歩き、記録写真と称して撮影した。そのモノクロネガは、初めて自分で現像したのだが、部分的にムラが出来てしまい、現像を教えてくれた友人から「へたくそ!」と言われた。その通りだったので2人で笑った。

その後、カラーフィルムでも何本か撮り、当時住んでいた池袋の駅の中にあったDPEでスピード現像(60分ぐらいだったか?)とサービス判の同時プリントをしてもらい、写真をクリアファイルにいれて並びを考え、夜のコンビニを渡り歩き数冊分コピーし、慣れない手つきで和綴じにした。これが「エキスドラ」という本で、僕の最初の写真を使った作品になった。

その後、この作品のシリーズは写真の賞をいただき、人目に触れる機会を得た。

今回、この「Tomo」を企画した方は、当時のその受賞作を何かの媒体で見て記憶に留めていてくれた方だった。お会いした時、彼は「私のどの作品をアプリに使いたいのか?」という問いに、「エキスドラ」と答えた。即答だった。

「エキスドラ」には、耳があったりコブがあったり、形に変化を加えたものがいくつかあるので、2014バージョンとして変形を加えようかと思ったが、せっかくなら当時の原型が良いと思い止めた。当時の画像を元にイラストレーターで描き起こし、スチレンボードに出力を貼付けレーザーカッターで切り出して、エキスドラのボードは2014年に前よりもシャキっとできあがった。それを抱えて、近所をふらふらと歩き、iPhoneの提供されたアプリで撮影したのがこの作品で、できがった写真は合成写真のようだった。

「一定の時間を経て現物が手に入る」アプリの企画者の中で、一定の時間を経て、僕の前に再び現れた作品だと思うと、何だか面白い。

〈EXDORA〉は、風景のエキストラとしてペラッとスタンプされ、風景を一変させる。


プロフィール

1969 年静岡県生まれ、東京藝術大学美術学部油画科卒業、東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了
キヤノン写真新世紀第3回 公募 優秀賞受賞、キヤノン写真新世紀第5回公募 優秀賞受賞
2010 年エルメスの季刊誌『LE MONDE D’ HERMÈS』ゲストページに10 ページにわたり『EYES』の作品が掲載された。


主な個展

1997 「THE GENESIS OF THE EXDORA WORLD」(Taka IshiiGallery /東京)
2008 「目印商品 展」( LOGOS GALLERY /東京)
2012 「EYES ー真夏の昼の夢」(POETIC SCAPE /東京)
2013 「ヱキスドラララララ・・・」(POETIC SCAPE /東京)
2014 「Slash / Ghost」(A-things /東京)

主なグループ展

2008 「テグ・フォトビエンナーレ」(韓国)
2012 「PHOTOESPAÑA 2012 Asia Serendipity(スペイン)